プレイヤーズ王国で「The Black Knight」を公開したところ ヌエさんが大変すばらしい文章を書いてくださいました。 オリジナルとは多少異なりますが、眠らせておくのは勿体無いので 公開させていただきます。 ============================================================================= 【The Black Knight〜Another Story〜】 文提供:ヌエさん ――ああ、耳に甦る遠く懐かしい声。 脳裏に浮かぶたおやかな立ち姿。 繊手を包む長手袋へくちづけた感触は今も甘くたゆたう。 幾重にも何かが断ち切られる音。 身を翻しかけた敵兵が鎧ごと真っ二つになり、その上体が地面に転がった。 さる魔界の公子が地上にもたらしたといういわくつきの邪剣が、血を吸って陰々と嗤う。 ――麗しの我が姫君。貴女の最後の騎士は、 貴女を死に追いやった者共に等しく同じ運命を分かつまで、戦い続けます。 剣の主はいびつに歪んだ黒い鎧姿。 降りかかる血飛沫など気にもとめず、次の獲物を求めて周囲を睥睨する。 面頬の隙間から覗く双眸が、ぎらりと紅く輝いた。 ――悪鬼と忌まれようと、戦鬼と蔑まれようと、この復讐は果たされねばならない。 幾百幾千の屍を積むことに躊躇いはありません。 怒号と共に飛び掛かった次の兵も、その次の兵もたちまち斬り捨てられると、 周囲の敵兵たちは悲鳴を上げて潰走を始めた。 黒騎士は獣めいた残酷な俊敏さで追い縋り、彼らを片端から撫で斬りにしていく。 歓喜に震える地獄の刃。高々と響き渡る復讐鬼の洪笑。 ああ、誰が知るというのだろう。 その裏に潜むのは一人の女性に寄せた一途な思慕であることを。 ――実際に悪魔の手も取ったこの身。 ましてや貴女の為ならば喜んで私は堕ち往きましょう。 だが兜の下、かの騎士の唇が描くのは、 まごうことなき狂気の半月形……。 ==============================================================================